慢性腎臓病
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKDとも言われます)は、一つの病気の名前ではなく、腎臓の働きが徐々に低下していく様々な腎臓病の総称です。
慢性腎臓病は「尿検査異常(尿蛋白・潜血)、もしくは糸球体濾過量(GFRと言います)60ml/分/1.73m2未満の腎機能低下が3か月以上続くこと」と定義されています。尿蛋白の有無は尿試験紙で判断され、糸球体濾過量は血液中のクレアチニン値から算出された数値を用いています。健康な若い人の糸球体濾過量がおよそ100であることから、ご自分の糸球体濾過量を見れば、若い時の腎機能と比べて今は何%になっているかを知ることが出来ます。
現在、日本では成人の約8人に1人が慢性腎臓病と推計されており、新たな国民病となっています。慢性腎臓病の発症や進行には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が大きく関係するほか、肥満、食塩の過剰摂取、過度の飲酒、喫煙などの生活習慣も深く影響します。また腎機能は年齢とともに機能が低下するため、高齢化が進んでいることも慢性腎臓病と診断される患者の増加要因となっています。もし慢性腎臓病を治療せずに放置したままにしておくと、最悪の場合は腎不全となり人工透析が必要な末期腎不全へと至る可能性もあります。
また慢性腎臓病は末期腎不全の危険因子だけでなく、脳卒中や心血管疾患の強い危険因子であることも分かっています。医療の進歩に加えて、生活習慣の改善や早期からの適切な治療を受けることで、発症や進行を減らすことが出来る病気でもあるため、慢性腎臓病を発症・進行させないような取り組みが重要となります。
※どうして生活習慣病の改善が大切か※
慢性腎臓病は脂質異常症や高血圧、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病に加えて、肥満や喫煙、過度な飲酒、食塩過剰摂取、鎮痛剤の多用などがその発症や進行に深く関与するとされます。
腎臓は約100万個の濾過装置(糸球体と言われます)が集まった臓器ですが、この濾過装置は実は毛細血管が集まってできたものになります。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの病気や喫煙習慣などは、血管を硬くして毛細血管を傷つけるため、濾過装置の血流低下・閉塞を招いて、腎臓の機能を失わせるのです。生活習慣病の適切なコントロールによって濾過装置の硬化・障害を防ぐことが慢性腎臓病の重症化予防に大切となるのです。
出典:一般社団法人日本人腎臓学会 腎臓病ガイド